豆鳥の巣立ち

旅と小説とその他もろもろ

バンコク ソンクラーンでの出会い

<正直、ソンクラーンは2日で飽きる> ソンクラーンの水かけ祭りはだいたい3日間続く。この時期外を出歩く際は、常にスマホや財布などの防水を心がけておいた方がいい。スナイパーはいつどこからあなたを狙っているか分からない。たとえば通りすがりのバイ…

バンコク ソンクラーン前夜祭

*この記事で書かれているのは、去年(2013年)のソンクラーンです* <川沿いの宿> フェリーから降りると、雨が降りはじめた。スコールほど激しいものではなく、春雨のように細かな雨足だった。 僕はレインコートを羽織り、目星をつけていた宿に向かった。…

バンコク トゥクトゥクの魔の手とフェリー

〈トゥクトゥクの魔の手〉 翌朝、ぼくは予定通りホワイトマンションを後にした。昨夜の一件で寝不足だったが、3日目ともなれば身体もだいぶ慣れてきた。今日こそは、バックパッカーの聖地とも言われているカオサン通りに行ってやろう。 だが、ホワイトマン…

バンコク 幻のムエタイと深夜のノック

<MBKのガジェットゾーンへ> まだ時間が早かったこともあり、夕食の前にKさんの買い物につき合うことになった。どこかの屋台にでも行くのかと思いきや、向かった先はまさかのMBKだった。正直またかと思ってしまったけれど、そんなぼくの浅はかな落胆はすぐ…

バンコク 屋台とタイ人女性

<センレックを食べる> クーラーを利かせたまま寝てしまったので、寝起きはむしろ肌寒かった。おもむろに起き上がり、しばらくぼーっと部屋を見回す。そこが日本の自分の家ではなくバンコクのゲストハウスなのだと気づくまで、少し時間がかかった。 時間は…

バンコク 謎の日本人のおじさん

【ようやく宿に】 ホワイト・マンションは、その名の通り白のペンキが塗られたゲストハウスで、建物自体は新しくはないが、決してボロいというほどでもなかった。中に入ると、ひまそうなおばさんがカウンターに座ってのんびりとくつろいでいた。彼女はぼくに…

バンコク 初海外でバックパッカーになる

【タイへの逃走】 2013年4月9日、僕は会社ではなく、羽田発バンコク行きの飛行機の中にいた。学生時代の友達の多くはこの春から新社会人としてバリバリ働いていたけど、ぼくは就職という道を取らなかった。でも、何もしないでいるのも後ろめたいので、…

中欧の旅 まとめ

<中欧の旅の時系列> 一区切りがついたので、中欧の旅についてまとめておこうと思う。 まず、記事の順番について。アウシュヴィッツのことから先に書いたので、どんどん逆行していってしまったので、もしかしたら読みにくかったかもしれない。それに、年ご…

プラハ ミュシャのステンドグラス

<旅の終わりを告げるなにか> なん年もかけた1人旅でも、7泊8日のパッケージツアーでも、最後には必ず旅の終わりを告げるなにかに出会う。それを目にしたとたん、直感的に「ああ、終わったんだ」と虚脱感とも安心ともつかない喪失感を覚える、なにか。 …

プラハ ストリート・パフォーマーたち

<プラハのストリート・パフォーマーたち> 前回は堅苦しい文章になってしまったので、今回は少し軽めの内容にしようと思う(とか言って、文体は堅苦しいままなのだが)。 プラハの街を散策していると、美しい街並みだけでなく、いたるところにストリート・…

プラハ 2つの広場と3人のヤン

<旧市街地と新市街地> プラハの中心部は大きく分けて5つの地区に分けられる。モルダウ川の西岸にあるプラハ城周辺のフラッチャニ地区と、その城下のマラー・ストラナ地区。東岸にある中欧最古とも言われるユダヤ人地区、そして旧市街地と新市街地だ。これ…

プラハ カフカを探して

<ついにプラハ> これまで何度も名前だけが登場してきたが、ここにきてようやくチェコの首都プラハについて書くことができる。3週間の旅行の間、1週間近くはこの街に滞在していたので、その分書くべきことも多い。なので、何回かに分けて色々と紹介しよう…

絵本の世界への入り方 チェスキー・クルムロフ

<おとぎの世界を探して> チェコがどんな国かと想像すると、多くの人は絵本のようにメルヘンチックなイメージを喚起するだろう。けれど、時代はグローバル化の進んだ21世紀なわけで、そのような現実離れしたおとぎの世界はあるはずがない。首都のプラハだ…

クトナーホラの珍スポット

<チェコの珍スポット> どこの国のどんな地域に行っても必ずあるのが「珍スポット」だ。たとえばタイのバンコクにあるシーウィ―博物館では、連続強姦魔のミイラや人間の脳みその解剖模型などが展示されているし、ベトナムのホーチミンには、スイティエン公…

このブルノ観光記はあまり役にたちません

<ブルノ市民はわざわざブルノを観光しない> ブルノではあまり観光らしい観光はしなかった。だらだらと「外こもり」に近い生活を過ごしていたからでもあるが、それ以上に、この街を観光することにあまり興味が湧かなかった。わざわざ観光目的で大阪城に登る…

日本の地方都市ブルノ

<モラヴィアの代表都市ブルノ> チェコは大きく3つの地方に分けられる。首都プラハがある西部のボヘミア、ポーランドと国境を接する北東部のシレジア、そして東部のモラヴィアである。この3つの地域に住む人々は厳密に言えば異なる民族であり、古来より周…

ブラチスラヴァはアートで素朴な街

<地味?な首都ブラチスラヴァ> ブラチスラヴァと言われても、あまりピンと来ない人が多いだろう。ここはスロヴァキアの首都なのだが、周辺国のプラハ、ウィーン、ブダペスト、ワルシャワなどの有名な首都と比べると、正直、地味だ。ぼくも行ってみるまでそ…

ブダペスト、独断と偏見のおすすめベスト3

<とは言え、ブダペストは『ドナウの真珠』> 前回、ブダペストの悪口のようなことを書いてしまったけど、この街が『ドナウの真珠』と呼ばれるほど、ヨーロッパ随一の美しさを誇るのは確かだ。長い歴史を持ち、街並みは都会的で洗練されている。たとえば、ウ…

ブダペストでの災難

<非日常のいかがわしさ> 中欧を訪れる半年ほど前、ぼくは東南アジアを2ヶ月ほど1人旅していた。それがはじめての海外旅行だったこともあり、毎日が刺激の連続だった。街を歩けばトゥクトゥク(バイクタクシーみたいなもの)の運転手やホテルの客引きに嫌…

ウィーンで本場のオペラを4ユーロで観てきた(後編)

<前回のあらすじ> ウィーンの本場のオペラを4ユーロの立ち見席で観るため、上演の3時間前から並びに行った筆者。少し変わった日本人のおじさんに助けられながら、なんとか最前列の特等席をゲットしたのだった…。 <ついに客席へ> そして、ついに客席に入…

ウィーンで本場のオペラを4ユーロで観てきた(前編)

<ウィーンは豊かな街> 前回「アウシュヴィッツ博物館で考えたこと」の舞台であるポーランドに行く前に、ぼくはオーストリアの首都ウィーンを訪れていた。今回はそこでの一夜について書こうと思う。 そもそも、今回の旅行は3週間でチェコやポーランドなどの…

アウシュヴィッツ博物館で考えたこと

<アウシュヴィッツ博物館に行ってきた> 2013年11月17日に、ポーランドにあるアウシュヴィッツ博物館に行ってきた。写真だけでは伝えきれないことがいくつもあるので、そのときに思ったこととか、収容所の様子とかをここにだらだらと書いてみる。 <なぜア…