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ブダペスト、独断と偏見のおすすめベスト3

<とは言え、ブダペストは『ドナウの真珠』>

前回ブダペストの悪口のようなことを書いてしまったけど、この街が『ドナウの真珠』と呼ばれるほど、ヨーロッパ随一の美しさを誇るのは確かだ。長い歴史を持ち、街並みは都会的で洗練されている。たとえば、ウィーンやプラハは様々な色が入り混じったにぎやかなイメージだけど、ブダペストは銀色に輝くクールな印象を醸し出している。「きれい」と「美しい」の違いともでも言おうか、とにかく、ブダペストは独特の魅力にあふれた街なのである。

 と、抽象的な感想を書いても言い訳がましいだけなので、今回は個人的に気に入ったブダペストのおすすめスポットを3つ紹介する。

 

<おすすめ① ヴァーロシュリゲットでのんびり>

 ブダペストのメインストリートであるアンドラーシ通りを歩くと、ヴァーロシュリゲットにたどり着く。ここは市民公園で、総面積122ヘクタールほどの園内には、美術館や動物園、さらには温泉まである。あいにく、ぼくが行ったときは天気があまり良くなかったが、晴れた昼下がりに園内を散歩したり、昼寝をしたりしてのんびり過ごすのも楽しいだろう。

 

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 園内にあるヴォイダフニャッド城。城の中は農業博物館になっている。

 

ヴァーロシュリゲットの入り口正面には、英雄広場がある。ここは1896年にハンガリー建国1000年を記念して造られたもので、中央の記念塔には天使ガブリエルの銅像があり、その周囲にハンガリーの英雄14人の銅像が設けられている。写真を撮る観光客の間を、スケボーに乗った兄ちゃんたちがすいすいと通り抜けていく様子が、実にのどかだ。

 

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 英雄広場。

 

 また、英雄広場の左右には、ラファエロやエル・グレコ、モネなどの絵画を収めた西洋美術館と、国内外の現代アートを展示した現代美術館(ミルチャーノク)がある。さすがにウィーンの美術史美術館なんかに比べると規模は落ちるけれど、それでも十分見応えのある作品ばかりだった。

 ヴァーロシュリゲットは観光地というよりは、ブダペスト市民の憩いの場だと言える。ここを訪れる際は、丸一日かけて園内をのんびりと見て回るといい。

 

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 西洋美術館。

 

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 現代美術館、ミルチャーノク。

 

<おすすめ② 中央市場のフォアグラ>

 お土産を買うなら、中央市場に行くといいだろう。市場と聞くと野外広場にでもあるのかと思いきや、ブダペストではホール状の建物の中にあり、何十もの店がひしめき、活気にあふれていた。

中央市場の1階は肉や野菜などの食料がメインで、雑貨や民族衣装などのお土産屋は2階にある。また、2階には飲食店もあり、ハンガリー名物のグラーシュ(パプリカのシチュー)が食べられるので、歩き疲れたらここで一息つくのもいい。また、地下にも一応店はあるけれど、特に変わったものものなく閑散としていたので、たいていの人は1、2階で十分だろう。

 

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中央市場。

 

ここの目玉はなんと言ってもフォアグラだ。ハンガリーはフランスに次ぐフォアグラの産地で、お肉屋ではグロテクスなまでに巨大な塊が置いてある。どの店も1キロあたり5000~6000フォリント、日本円だと2400~2900円という破格の値段だ(*2013年11月時点でのレート)。キッチン付きの宿に泊まったなら、自分で調理して腹いっぱい食べることができるだろう。

けれど、検疫の関係で生のままでは日本に持って帰ることはできないので、その場合は缶詰を買ってみよう。100グラムあたり3000フォリント前後、日本円で1500円前後と一気に値段が高くなるが、それでも日本で食べるよりは安いので、お土産としてはうってつけだろう。ただし、お土産物屋によっては、缶詰の賞味期限が切れている場合があるので(ある店で、賞味期限が2006年のものを買わされそうになった……)、念入りに確認しておいた方がいい。

 

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フォアグラの缶詰の山。これだけで10年分くらいのカロリーが取れそう。

 

フォアグラは高くて手が出せないという人は、パプリカパウダーがおすすめだ。写真にあるかわいらしい袋に入ったものが1000フォリント、約200円となかなかの値打ち価格。これさえあれば日本でもグラーシュを作ることができるので、料理好きな相手や、自分用に買って帰るのもいいだろう。

 

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 パプリカ。袋は再利用できそう。

 

<おすすめ③ くさり橋のライトアップ>

 そして、ブダペストの1番の見どころは、セーチェニー橋、通称「くさり橋」だろう。この橋が1849年に建てられたことで、川を挟んで別れていたブダとペストの2つの地区が1つに合わさり、現在のブダペストの街が誕生した。その後、第2次世界大戦のときに一部破壊されたりもしたが、現在までブダペストの街を象徴する存在として、人々の間で親しまれている。

 ヨーロッパでも特に美しいとされるこの橋は、荘厳なライオンの彫像や、アイバーチューンと呼ばれる独特な構造が目を引くが、なんと言ってもライトアップが素晴らしい。宵闇の中に煌々と輝き、ドナウ川にはその明かりが絹のように反射している。ブダ城の上から眺めるのも格別だ。同じくライトアップされた国会議事堂や、聖イシュトヴァーン大聖堂などの街並みと調和する夜景は、息をのむほどの美しさだ。恋人や伴侶とともにこれを眺めたら、一生の思い出になることだろう。もちろん、1人で眺めても美しいのは変わりない(独り身のぼくが言うのだから間違いない)。

ただ、夜のブダ城は真っ暗で人影もほとんどなく、少し危険かもしれない。秋から冬にかけては6時くらいにはもう暗くなっているので、ライトアップを見るなら、なるべく早い、観光客がまだいる時間に来るのがいいだろう。

 

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 くさり橋。

 

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 ブダ城からのくさり橋。奥で光っている建物は聖イシュトヴァーン大聖堂。

 

<見どころは語りつくせない>

この文章を書いている途中で思い出したが、ブダペスト西駅(国際列車の多くは東駅に発着するので要注意)には、世界一美しいと評判のマクドナルドがある。でも、実際に行ってみたら「……そうか?」って感じだったので、詳しい紹介はしないでおく。興味がある人は、ぜひ1度見に行ってみてほしい。

ブダペストにはこれら以外にも、ブダ城の迷路とか子供鉄道といった少し変わったものまで、本当に色んな観光スポットがある。ぼく自身はちょっとしたトラブルに巻き込まれてしまったけど、大半の人はこの街の魅力に満足するはずだ。物価もウィーンやプラハに比べると安いので、それらの街から少し足を伸ばしてブダペストに訪れてみてはどうだろうか。