豆鳥の巣立ち

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ブラチスラヴァはアートで素朴な街

<地味?な首都ブラチスラヴァ

 ブラチスラヴァと言われても、あまりピンと来ない人が多いだろう。ここはスロヴァキアの首都なのだが、周辺国のプラハ、ウィーン、ブダペストワルシャワなどの有名な首都と比べると、正直、地味だ。ぼくも行ってみるまでその存在を知らなかった(←失礼)。

  でも、知名度が低いだけで、ブラチスラヴァにも見どころはたくさんある。今回はこの都市についてご紹介する。

 

<ウィーンから日帰りもOK>

 以前も書いたが、ぼくはチェコのブルノからブラチスラヴァに行くつもりが、列車を乗り間違えてウィーンに行ってしまった。でも、そこからブラチスラヴァまでは列車で2時間くらいしか離れていないので、大きなミスにはならなかった。

中欧の地図を広げると分かる通り、ブラチスラヴァは上記に挙げた有名な都市たちのちょうど中間地点にある。だから、たとえばウィーンから列車で訪れて、数時間ほどこの街を観光した後、また列車に乗ってブダペストに行くということが1日のうちにできるのだ。実際に、ほかの都市から日帰りで訪れる観光客もけっこう多いとのことなので、スケジュールに余裕がある人はぜひ足を伸ばして訪れてみてほしい。

 

<街中のアート作品>

 ブラチスラヴァの街中には意外にも(←失礼)アート作品が多く見られる。特に旧市街にあるフラヴネー広場の辺りには、なかなか奇抜なオブジェが多い。写真にあるようなマンホールに埋め込まれたおじさんの銅像や、かわいさとうす気味悪さが入り混じった人形など、独特な雰囲気の漂う街並みは見ているだけで楽しい。

 

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 フラヴネー広場

 

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 マンホールの中に住むおじさん。写真には写ってないが、この銅像のすぐそばに銅像のフリをしたストリートパフォーマーがいて紛らわしかった。

 

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 仲睦ましいカップル

 

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 謎のクマのオブジェ

 

 フラヴネー広場から少し離れた場所にも、変わった建造物がいくつもある。たとえば、このピラミッドをひっくりかえした形の建物。スロヴァキア放送のラジオ局らしいが、中がどのような構造になっているのか気になるところだ。

 

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 スロヴァキア放送の建物 

 

  また、ファサードというデザインが施された国立ギャラリーも洗練されている。この建物は18世紀の宮殿と共産時代の兵舎を連結させているらしく、中にはスロヴァキア最大のゴシック美術のコレクションが収容されているとのことだ。

 

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 国立ギャラリー

 

<古きよきブラチスラヴァ城>

こうした現代アートがいたるところにあるブラチスラヴァは、まるでそれによって知名度で勝る周辺国の都市と対抗しているかのようだ。とは言え、この街が歴史的な面でほかの街よりも劣っているわけではない。

 この街の歴史を語る上で、ブラチスラヴァ城は欠かせない。この城はハンガリー王国の統治下であった12世紀ごろに建てられ、16世紀には遷都されたことで王国のシンボルになった。さらに、18世紀にはかのマリア・テレジアの居城となり、ハプスブルク家の栄光の物語の舞台にもなったのである。その後、1811年に火災が起きてからは長きにわたって荒廃することになるが、第2次世界大戦後に復旧され、いまもブラチスラヴァ市民の心のよりどころとなっている。

また、ブラチスラヴァ城の外観は独特で、よく「ひっくり返したテーブル」と称される(ラジオ局といい、ここの人たちはひっくり返すのが好きなのだろうか)。現在の場内は歴史博物館として一般公開されており、塔からはブラチスラヴァの街並みやドナウ川を見渡すことができる。

 だが、ぼくがブラチスラヴァ城を訪れた日はあいにくの豪雨だった。城へはバスやタクシーでも行けるが、けちって徒歩で登ったのが間違いだった。細い坂道は雨で何度も滑りかけたし、途中で折り畳み傘が折れてずぶ濡れになってしまった。それでもなんとか城にたどり着いたけれど、風がびゅうびゅうと吹き荒んでいてめちゃくちゃ寒く、とても観光を楽しめる状況ではなかった。なんとかこの写真だけは撮ったが、すぐに降りて宿に戻ったのだった。

 とは言え、晴れた日には素晴らしい景色が見られるはずなので、ブラチスラヴァに来たらぜひ訪れてほしいスポットだ。

 

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 ブラチスラヴァ城。一見そんなに雨が降ってないようだが、この時すでに傘は大破していた

 

<素朴な首都ブラチスラヴァ

 このように、ブラチスラヴァは古きよき文化と現代的な文化が共存した、非常にユニークな街である。ウィーンに来たついでにちょっと寄るだけでもいいけれど、この街を存分に楽しむためには、やはり1泊はしてみるべきだろう。

 あと、これは個人的な話になるけど、今回巡った中欧の国の中で人々が1番優しかったのが、このブラチスラヴァだ。うさんくさいアジア人のぼくに気軽に話しかけて道を教えてくれたお兄さんや、ドアの警報ベルを鳴らしても笑顔で対応してくれたペンションのスタッフなど、基本的にみんなフレンドリーだった(無邪気なちびっ子からチ○ノと呼ばれはしたが)。

一国の首都なだけど都会特有の冷たさがあまりなく、どこかあか抜けず素朴な雰囲気が漂っているところもまた(←失礼、ではなく褒め言葉)、このブラチスラヴァの魅力の1つだと言えるだろう。

 

 

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 個人的にツボったモニュメント。誰から知らない。